南数塾 面談室から / 第9回
学校の勉強はそのまま続けながら、A-Level を受けてイギリスの大学に出したい。高校生の保護者から、こうしたご相談が増えています。力が足りないことより、時間が足りないことのほうが多くの場合の壁になります。だから最初に決めるのは、何を・いつまでに・どの順で、です。
南数塾の面談でお話ししている内容を、ご家庭が特定されないよう対話形式に再構成しています。大学や試験の条件は、末尾の出典で確かめてから載せています。条件は年度ごとに変わるため、出願の前には最新の募集要項をご確認ください。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
学校で数学はかなり先まで進んでいるので、A-Level の数学は、あまり準備しなくても受けられるのかなと思っていて。
南数塾
内容を知っていることは大きな強みです。ただ、学校で習っていることと、A-Level の試験で点を取れることは別だと考えてください。何も準備せずに受けると、力のあるお子さんでも思ったより低い成績になることがあります。
保護者
何がそんなに違うんでしょう。
南数塾
問題の形と、答え方です。A-Level は単元ごとに問われ方の型がかなり決まっていて、英語の用語で問題を読み、決まった書き方で答える必要があります。学校の勉強で理解している内容を、A-Level の形で取れる点に変える練習が別に要ります。
保護者
その練習は、どうやって積むんですか。
南数塾
内容を一度確かめたら、あとは過去問を解く量です。解いて、できなかった型を見つけて、そこを集中的につぶす。遠回りして教科書を最初からやり直すより、早い段階で過去問に入ったほうが点に近づきます。
保護者
学校の勉強もあるので、そんなに時間が取れるかどうか……。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
科目は3つでいいのか、4つにしたほうが有利なのか、迷っています。
南数塾
大学によって決まりが違うので、志望する大学の入学要件から逆算します。たとえばケンブリッジ大学は、合格の条件はふつう同じ年に受ける3科目の A-Level で出し、4科目を取っても通常は有利にならないとしています。ただ、理系の学科の強い出願者は、4科目めに Further Maths を取っていることが多い、とも書いています。[1]
保護者
経済のような、数学に近い分野ではどうですか。
南数塾
ケンブリッジの経済学部は、2027年入学の最低の条件が A*A*A で、数学の A-Level が必須です。A-Level で入学した学生の9割以上が Further Maths を学んでいた、という数字も公開しています。[2]
南数塾
LSE の経済学部は A*AA で、数学は A* が条件です。Further Maths は「望ましい」という扱いで、Further Maths を取る場合は、3科目めは論述型の科目が好ましいとしています。4科目以上取った場合も条件は A*AA のままで、4科目めは合格点が取れていれば足ります。[4]
保護者
同じ経済でも、大学によって見ているところが違うんですね。
南数塾
はい。だから4科目めは「有利そうだから」ではなく、志望先が求めているかどうかで決めます。理科を足す場合、ケンブリッジは実験の評価(practical assessment)も通っていることを求めています。[1]
南数塾
もう1つ見るのは負担です。たとえば化学は、用語を英語で覚え直す量が多く、学校の範囲と重ならない単元も出てきます。学校の勉強と並べて受けるなら、要件にない重い科目を足すと、本命の科目の時間が削られます。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
学校で数学Ⅲまでやっているので、Further Maths の範囲もかなり重なっているのではと思っていたんですが。
南数塾
重なるところはあります。ただ Further Maths(9231)は、行列、極座標、双曲線関数、微分方程式、さらに円運動などを扱う力学や、検定を扱う統計まで入っていて、広く浅く範囲を取る科目です。学校の数学の外にある単元も少なくありません。[6]
南数塾
数学Ⅲで深く理解している部分は、そのまま強い武器になります。ただ試験として取るには、範囲の外の単元と、A-Level の答え方を学び直す時間が要ります。机に向かう時間が取れれば、長くはかからない範囲です。
保護者
AS の数学で、Mechanics か Statistics のどちらかを選ぶように言われていて。
南数塾
9709 の AS は、Pure 1 に、Pure 2・Mechanics・統計1のどれか1つを組み合わせて受けます。Further Maths まで進むつもりなら、そのために勧められる組み合わせがあるとシラバスに書かれているので、先に学校と確かめておきます。[5]
保護者
どちらが取りやすいんでしょう。
南数塾
向き不向きがはっきり分かれます。Mechanics は、仕組みが分かってしまえば似た型の問題が続くので、安定して点が取れるようになりやすい。統計は覚えておく決まりや手順が多く、一度できるようになっても、間を空けると点が落ちやすい分野です。
南数塾
なので、まず両方の過去問を1回ずつ解いてみるのがいちばん確かです。「意外とできる」と感じたほうを選ぶ。物理をやっているお子さんは、Mechanics のほうが入りやすいことが多いです。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
試験は年に何回あるんですか。1月に受けるという話も聞いたんですが。
南数塾
Pearson Edexcel の International A Level の数学は単元ごとの試験で、どの単元も1月と6月に受けられ、10月は一部の単元だけです。単元は受け直しができ、いちばん良い結果が成績に使われます。[7]
保護者
それなら、受け直せばいいと考えてもいいんでしょうか。
南数塾
そこは大学の見方を確かめておきます。ケンブリッジ大学は、受け直しが必要になる事情は理解するとしつつ、受け直しが多いと懸念する、と書いています。入学後の試験は受け直しができないから、という理由です。[1]
南数塾
過去問は、どの団体でも毎年いくつもの回が出るので、練習の量に困ることはまずありません。範囲が重なる単元なら、ほかの団体の過去問も練習に使えます。全部を解く必要はなく、解いていくうちにできない型が見えてくるので、そこを集中して練習します。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
出願では、成績のほかに何を見られるんですか。
南数塾
UCAS の出願では Personal Statement を書きます。2026年入学の出願から、1つの長い文章ではなく、3つの質問に答える形になりました。「なぜこの学科を学びたいか」「これまでの学校の勉強がどう準備になったか」「学校の外で何をしてきて、それがなぜ役に立つか」の3つで、全体で4,000字(英字・空白込み)、1問あたり350字以上です。[8]
保護者
アメリカの大学のエッセイのようなものですか。
南数塾
似て見えますが、中身はかなり違います。イギリスの大学が見るのは、その学科にどれだけ深く関わってきたか、たとえば分野の本をどれだけ読み、学校の範囲の外まで考えてきたかです。課外活動の幅を見るアメリカとは準備の仕方が別なので、両方を並べて準備するのはかなり大変です。A-Level だからアメリカに出せない、ということではありません。
保護者
締め切りはいつ頃ですか。
南数塾
2027年入学なら、オックスフォード・ケンブリッジと多くの医学部は2026年10月15日(英国時間18時)、ほとんどの学科は2027年1月13日(同)が、公平に審査される締め切りです。出せるのは全部で5つまでです。[9]
保護者
高3になってから準備するのでは遅いですか。
南数塾
Personal Statement の文章そのものは、最後に整えれば間に合います。間に合わないのは中身のほうで、学科に関わる読書や取り組みは、書く前から積んでおく必要があります。A-Level の成績と、入学試験の対策と、その中身の3つを、同じ時期に重ねないように並べるのが計画の肝です。
保護者(高校生のお子さん・A-Level を考え中)
結局、最初に何から決めればいいでしょう。
南数塾
まず、目標を「A-Level の成績」に置くのか、「イギリスの大学への出願」に置くのかをはっきりさせます。後者なら、成績のほかに入学試験と Personal Statement の準備まで計画に入ります。
南数塾
そのうえで、志望する大学の入学要件から科目と必要な成績を決め、受ける回を決め、そこから逆算して「この月までにこの範囲を終える」という予定を立てます。授業はその予定に沿って、内容の確認と過去問の演習を組み合わせて進めます。
南数塾
大学の入学要件は毎年見直されるので、こちらでも公式の要件のページを出願の年ごとに開き直して確かめています。前の年の情報のまま科目を決めてしまうのが、いちばん避けたいことです。
保護者
本人の気持ちがまだはっきりしていない部分もあって。
南数塾
それで構いません。最初の何回かの授業で、過去問にどれだけ手応えがあるか、学校と並べてどれくらい時間が取れるかを一緒に見ていけば、本人の中でも方向が固まってきます。
大学によります。ケンブリッジ大学は合格の条件をふつう3科目で出し、4科目を取っても通常は有利にならないとしています(理系の強い出願者は4科目めに Further Maths を取っていることが多い)。LSE の経済学部は、4科目以上取った場合も条件は A*AA で、4科目めは合格点が取れていれば足ります。志望先の入学要件で確かめてください。
数学Ⅲの理解は強みになりますが、Further Maths(9231)には行列・極座標・双曲線関数・微分方程式や、円運動を含む力学、検定を扱う統計など、学校の数学の外にある単元もあります。範囲の外の単元と A-Level の答え方を学び直す時間を見込んでください。
9709 の AS は Pure 1 に Pure 2・Mechanics・統計1のどれか1つを組み合わせます。Mechanics は仕組みが分かれば点が安定しやすく、統計は覚える手順が多く間を空けると落ちやすい傾向があります。両方の過去問を1回ずつ解いてみて、手応えのあるほうを選ぶのが確かです。
試験としては受け直せる回がありますが、大学の見方は別です。ケンブリッジ大学は、受け直しが多いと懸念すると公式に書いています。受け直しを前提にしない計画をおすすめします。
2026年入学の出願から、3つの質問(なぜこの学科か/学校の勉強がどう準備になったか/学校の外で何をしてきたか)に答える形です。全体で4,000字(英字・空白込み)、1問あたり350字以上です。
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