2026年10月30日時点の情報です。内容の正確さに努めていますが、変更や誤りがある場合があります。正しい最新の情報は、必ず公式サイトで確認してください。
国語シリーズ
国語は国語の時間だけのものではない。国の審議会は、20年以上前からそう書いています。
海外で子育てをしていると、「英語ができれば、日本語はあとからでも何とかなる」「国語は日本の受験のための科目」という考えをよく耳にします。忙しい毎日の中で、日本語の勉強が後回しになるのは自然なことです。
では、日本の教育の方針を決める国の審議会は、国語をどう位置づけてきたのでしょうか。審議会の文書を開くと、むしろ反対のことが書いてあります。
文化庁の文化審議会が、文部科学大臣の諮問に答えてまとめた文書です。いまも国の国語の考え方の土台になっています。
答申は、国語力の中核を次の四つの力にまとめ、これらが「聞く・話す・読む・書く」という形で表に出ると説明しています(7〜8ページ)。
| 力 | 答申の説明(要約) |
|---|---|
| 考える力 | 分析する力と、筋道を組み立てる力。事実と、根拠のはっきりしない推測を見分け、文章の中の論理や構造をつかむ |
| 感じる力 | 相手の気持ちや作品の内容・表現を感じ取る力。言葉の細かな意味の違いを感じ取る「言語感覚」も含む |
| 想像する力 | 経験していないことや、目の前にないことを思い描く力。言葉に表れていない思いを察する力 |
| 表す力 | 考え、感じ、想像したことを、相手や場面に合わせて言葉や文章にする力 |
答申は、脳の発達の研究を参考に、国語の育て方を年齢で三つに分けています(13〜14ページ)。
| 年齢 | 答申の呼び方 | 重点を置くこと(要約) |
|---|---|---|
| 3歳まで | コミュニケーション重視期 | 親子の「話す・聞く」で言葉を育てる |
| 3歳〜11・12歳 | 基礎作り期 | 読み聞かせと読書で言葉の数を増やす。小学校では「読み」を先に進め、語彙を増やすことに重点を置く |
| 13歳以上 | 発展期 | それまでに育てた国語の力を使い、論理的な思考を本格的に広げる。読書で、感じる力・想像する力・考える力・語彙を総合的に伸ばす |
イギリス式の学年でいうと
11〜12歳は Year 7 にあたります。語彙を増やす「基礎作り期」が終わるころに、IGCSE・A-Level・IB へ向かう学年が始まります。南数塾が「Year 7 より前から」と考える理由の一つです。
中央教育審議会の国語ワーキンググループが、2026年7月に取りまとめの案を出しました。全国学力調査や学習指導要領の実施状況の調査から、次の課題を挙げています。
| 国が挙げた課題 | どういうことか(案の要約) |
|---|---|
| 言葉で考えを整理し、深めること | 自分の考えに合う言葉で表すこと、文章の内容と自分の知識を結び付けて考えることが弱い。学習の基盤になる語彙と、読書の習慣にも課題がある |
| 目的や場面に合わせて伝え合うこと | 考えが相手に伝わるように話や文章を組み立てること、話し合って考えをまとめることが弱い |
| 目的に合わせて読み、確かめること | 目的に応じて文章を読み自分の考えをもつこと、情報の確かさを確かめることが弱い |
| 教科書を読み解く力 | 国語で育てる「読む力」と、ほかの教科で要る「教科書を読み解く力」の役割分担が整理されておらず、後者が十分に育っていないという指摘がある |
案には、検索結果のいちばん上に出る AI の要約を、そのまま写して十分に考えていない子どもの姿も書かれています。そのうえで、生成 AI が広がるこれからの社会では、自分の考えを言葉にし、筋道を立てて説得力をもって伝え、話し合う「人間ならではの力」を育てる必要がある、としています。
国語の「見方・考え方」は、言葉の背後にある意図や文脈をとらえ、自分の考えを深めて表現することが、国語を学ぶ意味の中核であると示す方向です。
| 時期(予定) | |
|---|---|
| 論点整理 | 2025年9月(読解力は、時代を超えて常に学習の基盤とされた) |
| 国語ワーキンググループの取りまとめ案 | 2026年7月 |
| 全面実施 | 小学校 令和12年度(2030年度)・中学校 令和13年度(2031年度) |
2026年10月時点では、まだ審議の途中です。最終的な答申・告示の内容とは違うことがあります。
20年以上の間、国の文書は同じことを言い続けています。国語は、考えるための言葉そのものであり、理科や数学、外国語の学びの土台でもある。そして、いまの日本の子どもにも、言葉で考えを深めること、根拠を示して書くことに課題がある、と。
日本の子どもは、毎日の授業もほかの教科も日本語で学んでいます。それでも国は、言葉で考えを深める力に課題があるとしています。海外で学ぶ子どもは、日本語にふれる時間そのものがずっと少なくなります。国の文書が挙げる課題は、海外ではもっと強く表れると、私たちは考えています。
南数塾の国語科は、この考えから作りました。授業と宿題の中身は 国語科のページ にまとめています。
2026年10月30日時点で確認した情報です。最新の内容は、それぞれの公式の資料でご確認ください。