南数塾 面談室から / 第7回
計算は得意なのに、学校の数学の点が思ったほど伸びない。フランスの課程で学ぶお子さんの保護者から、よくうかがうお悩みです。原因は数学の力そのものより、試験の仕組みと、答案をフランス語で書き切るところにあることが少なくありません。
南数塾の面談でお話ししている内容を、ご家庭が特定されないよう対話形式に再構成しています。大学や試験の条件は、末尾の出典で確かめてから載せています。条件は年度ごとに変わるため、出願の前には最新の募集要項をご確認ください。
保護者(フランスの課程の学校に通う・中学生のお子さん)
子どもがフランスの課程の Collège に通っています。来年は Brevet だと言われたのですが、日本の高校入試のようなものなのか、よく分かっていなくて。
南数塾
Brevet は、Collège の最後の学年(3e)で受ける国の試験です。2027年の回からの決まりでは、学年末の試験が60%、3e の1年間の学校の成績が40%で、20点満点の平均が10点以上なら取得です。[1]
保護者
1年間の成績も入るんですね。本番だけ頑張ればいいと思っていました。
南数塾
そこが日本の入試といちばん違うところです。3e の学校のテストが1回ずつ点に積み上がるので、3e の9月から「毎回のテストが本番」と考えておくほうが安全です。
保護者
その先の Baccalauréat も、同じような形ですか。
保護者
数学をどこまで取るかで、重さが変わるということですか。
南数塾
はい。Première だけ数学を専門科目にしてやめると、Première の1年間の成績が重み8で入ります。専門科目にしない場合は、科学(重み3)の中の数学の授業が、その平均の4割として入るだけです。どこまで取るかは、Seconde のうちに決めることになります。[6]
保護者(フランスの課程の学校に通う・中学生のお子さん)
本人は計算が得意なんです。それなのに、学校の数学の点が思ったより伸びなくて。
南数塾
計算が得意なお子さんほど、答案の書き方で点を落としていることが多いです。Brevet の数学の第2部では、指示がない限り、すべての答えに理由を書く決まりで、選ぶだけの問題は出ません。[2]
保護者
答えが合っていても、点にならないのですか。
南数塾
答えだけでは満点になりにくい、と考えてください。逆に、最後まで解けなくても、試した跡や進めた考え方は点に入れることになっています。止まったところまで、書いた分が点になります。[2]
保護者
数学なのに、フランス語の作文の力まで見られるんですね。
南数塾
なので南数塾では、答案を 「On sait que(分かっていること)→ Or(使う定理)→ Donc(結論)」の3つに分けて書く練習を、毎回の授業で短い問題を使って続けます。型が決まると、フランス語が完璧でなくても、筋道が採点者に伝わります。
保護者
ことばの面で、ほかに気をつけることはありますか。
南数塾
日本語に置きかえると取り違えやすいことばがあります。fonction linéaire は日本の「比例」にあたり、「一次関数」(y=ax+b)とは別のものです。図形では réciproque(逆)と contraposée(対偶)の使い分けも、課程ではっきり求められます。[7]
南数塾
それから、Collège の図形では定規で測った長さは証明になりません。課程にも書かれていて、「測ったら同じだった」は理由として認められないので、ここで戸惑うお子さんが多いです。[7]
保護者(フランスの課程の学校に通う・中学生のお子さん)
日本の教材も家でやらせているのですが、学校の単元と合わないことがよくあります。
保護者
逆に、日本のほうが先に習うものもありますか。
保護者
日本の教材と学校の授業を、どう組み合わせればいいのでしょう。
南数塾
軸は学校の単元の順番に置きます。そのうえで日本の教材は、「学校で習い終えた単元の復習」と「日本で先に習う単元の補い」の2つに分けて使います。学校より先に日本の教材で三角比を進めようとすると、ことばも書き方も合わず、かえって混乱します。
保護者(フランスの課程の学校に通う・中学生のお子さん)
まだ決めていないのですが、高校か大学で日本に戻る可能性もあります。
南数塾
日本に戻るなら、最初に確かめるのは学年です。日本の学年は4月2日から翌年4月1日までに生まれた子で1つなので、1月始まりで分けるフランスの学年と、ずれることがあります。受け入れの学年は学校が決めるので、必ず確かめてください。[9]
南数塾
数学では、フランスの Collège で習わない日本の中学の内容(二次方程式の解の公式など)と、日本語で書く証明の形を補います。フランスで鍛えた「理由を書く」力は、日本の証明でもそのまま生きます。[8]
保護者
大学で日本に戻る場合、Baccalauréat はそのまま使えるのですか。
南数塾
Baccalauréat で出願できる日本の大学の入試はあります。たとえば慶應義塾大学の帰国生対象入学試験(2026/2027年度)は、Baccalauréat の成績評価証明書を出す形で、経済学部は数学、理工学部は数学・物理学・化学を試験科目に含むことを求めています。[10]
保護者
Lycée で選ぶ専門科目が、日本の大学の出願にも関わるんですね。
南数塾
そうなんです。数学を Terminale まで続けるかどうかは、フランスの中だけの話ではありません。日本の理系に進む道を残すなら、Seconde で専門科目を選ぶ前に、志望の大学の募集要項を一度見ておくのが安全です。条件は大学ごと・年度ごとに変わります。[10]
保護者
フランスの大学に進む場合はどうでしょう。
南数塾
フランスの多くの大学や学校は、Parcoursup という出願の仕組みを使います。出願の書類には、Première の1年間の成績表と Terminale の前半の成績表、そして先行試験の点が入ります。[6]
保護者(フランスの課程の学校に通う・中学生のお子さん)
私はフランス語の数学の答案を見てあげられません。家でできることはありますか。
南数塾
中身を教えていただく必要はありません。お願いしたいのは、返ってきた答案で「答えは合っているのに点が引かれた問題」に印を付けてもらうことです。そこが、書き方で落とした点です。
保護者
それなら、フランス語が読めなくても分かりそうです。
保護者
塾には、どんな形でお願いできるのでしょう。
南数塾
南数塾では、フランスの課程の数学を、学校と同じフランス語の授業で教えています。通年のクラスとオンラインの個別があり、保護者への連絡や面談は本部が日本語で行います。教材は、日本語とフランス語を並べた版と、フランス語だけの版があります。
南数塾
宿題の採点では、間違いを「計算」「ことばの取り違え」「書き方の不足」に分けて見ていきます。どの種類が減ってきたかが見えると、Brevet や先行試験までに何を詰めればよいかが、はっきりします。
2027年の回からの決まりでは、学年末の試験が60%、3e の1年間の学校の成績が40%で、20点満点の平均が10点以上なら取得です。3e の毎回のテストが点に積み上がります。
Brevet の数学の第2部は、指示がない限り、すべての答えに理由を書く決まりです。最後まで解けなくても、試した跡や考え方は点に入ります。2027年の回からは、数学の試験でも20点のうち2点が、フランス語を正しく書く力と考え方をはっきり書く力に付きます。
Première の終わりに、一般の課程と技術の課程の生徒全員が受ける数学の試験です。2時間・電卓なし・重み2で、第1部が6点、第2部が14点です。数学を専門科目にしているかどうかで、受ける問題が分かれます。
三角比(cos・sin・tan)とベクトルは、フランスでは Collège の課程に入っていますが、日本の中学校では扱いません。逆に、日本で中3に習う二次方程式の解の公式は、Collège の課程にはありません。タレスの定理は、日本の「平行線と線分の比」にあたります。
出願できる入試があります。たとえば慶應義塾大学の帰国生対象入学試験(2026/2027年度)は Baccalauréat の成績評価証明書で出願し、学部によって数学などの科目を試験科目に含むことを求めています。条件は大学と年度で変わるので、最新の募集要項で確かめてください。
フランスの課程の入試の相談は南数塾へ
学年・いまの科目と成績・志望校を伺い、必要なスコア・科目・出願の準備を整理します。入塾をご検討の方の受講相談は無料、入塾以外の進路相談は有料で承っています。
いずれも 2026-10-28 に内容を確かめました。