これは怠慢ではなく、言語習得の順序とイマージョン環境の必然です。話す・聞く(口頭言語)は早く完成する一方、 読む・書く(書記言語)とそれに紐づく語彙は後から育つため、英語環境を離れた時点で語彙が「穴あき」のまま固定されやすいのです。 さらに、日常会話は高頻度語でほぼ回るのに対し、英検2級以上やアカデミックな文章は会話に出てこない学術語・低頻度語を要求します。 「英語を浴びているから大丈夫」では埋まらず、明示的な単語学習が必須——ここを英語優位な子ほど見落とします。
英語優位な子は「見て・聞いて分かる(受容語彙)」は多いのに、「正確に使える・選べる(産出語彙)」が弱い、という非対称が典型です。 次の2軸で可視化します。
語彙サイズテスト(Paul Nation 系の vocabularysize.com、testyourvocab、日本語UIなら Weblio 語彙力測定の英検モード等)で受容語彙の総量を把握。英語優位な子はここが高く出ます。
最も診断力が高い方法。誤答を「(i)語を知らない (ii)語は知っているが別義・語法で外した (iii)句動詞・熟語で外した」の3つに分類すると、どこに時間を投下すべきかが決まります。
英語優位な子は「①が高く②が低い」形になりがち。②の低さこそが対策の主戦場です。
戦略原則は一つ——知っている語はスキップし、節約した時間を「知らない語の獲得」と「知っているを選べる(産出・語法)に変える」ことに全振りします。
旺文社『でる順パス単』を頻度順に。第1周は学習ではなく仕分け——1語2秒で「知ってる/曖昧/知らない」の3択にふるい分け、知っている語は二度と触りません。会話で得た高頻度語が大量にここで落ち、実質の学習対象が半分以下に圧縮されます。これが英語優位な子の最大の時短です。
受容(見て分かる)を産出(正しく選べる)に変える最重要工程。過去問の大問1を時間を計って解き、正解だけでなく不正解の選択肢の語も全部回収します(1問で実質4語)。準1級以上は大問1がすべて語彙なので、語法・多義の弱点が一発で露出します。
句動詞やコロケーションは単語のように1枚で丸ごと覚えます。会話で最頻義は既得なので、学習対象は「知らない別義」「硬い句動詞」だけ。多義語は別義を必ず潰します(1義だけだと大問1で外す)。
re- / in-・im- / -ous / -ate や port・spect・dict など汎用性の高い語源に絞って覚えると、本番で初見の難語に当たっても意味を推測できます。汎用性のない語源まで覚えるのは非効率なので避けます。
仕分けで残した「知らない語」を、1日・3日・7日・14日・30日の間隔で復習。アプリは例として、高速大量に回す mikan、じっくり用例で学ぶ abceed、チャンクを自作カードにできる Anki など。ただしSRSは脱文脈なので「思い出せるが自然に使えない」限界があり、暗記専用と割り切って運用は別工程で補います。
覚えた語を英字記事・洋書・字幕付き視聴で何度も再会させ、文脈の中で定着・別義獲得。明示的な単語学習(穴を狙い撃ち)と多読(運用に固める)は、互いの限界を補完します。どちらか片方では不十分です。
産出語彙は書く活動を通じて伸びます。『文で覚える単熟語(文単)』の長文で文脈ごと固め、覚えた難語を自分のライティング・二次スピーチで意図的に使う。これで初めて「使える語」になります。スペルやアクセントのズレ(耳から覚えた副作用)もここで矯正します。
週末はライティング1本(覚えた難語を意図的に使い産出化)+過去問1回分。試験前2週間は新規語を止め、SRSの総ざらいと大問1の反復に切り替えます。
※ 上の数値は旺文社『でる順パス単』各級の収録語数の目安で、「合格に必要な語彙数」ではありません(英検は必要語彙数を公表していません)。1級で必要な総語彙は一般に約1〜1.5万語と言われますが業界推計です。英検のレベル/CEFRは4技能総合で判定され、語彙単独では決まりません。
単語=旺文社『でる順パス単』/文脈=『文で覚える単熟語(文単)』/演習=『過去6回全問題集』の大問1・『文法・語法問題 でる順』/ライティング=『分野別ターゲット 英作文問題』/二次=研究社『究極の英検 面接大特訓』。新規大量暗記はパス単+SRS(速い)、定着と運用は文単+多読(文脈)で役割分担します。
語彙対策のエッセンスは英検 語彙対策ガイドに、語彙以外の穴(ライティングの型・要約・二次)は話せるのに英検で落ちる子の共通点に。会話できるのに語彙で落ちる構造の入門はこちら。
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