「両方を完璧にやる」と考えると無理ですが、日本式とインターは重なる単元が多く、 本当に補強が必要なのは“順序がずれる一部”だけです。やることは2つに絞れます。
海外(マレーシア)駐在のご家庭で一番つらいのは、「日本に帰る可能性もあるから日本の数学も国語も捨てられない、でもインター(IGCSE)も始まる」という板挟みです。ここで大事なのは、未定を“弱み”ではなく“前提条件”として固定すること。帰国するともしないとも決まっていない以上、どちらかを完全に捨てる判断はまだできません。だからこそ、「全部を二重に完璧にやる」のではなく、「どちらに転んでも成果が残る配分」を設計するという発想に切り替えます。これだけで、毎日の学習に対する罪悪感がかなり減ります。
日本式とインターは、実は重なる単元がかなりあります。四則計算、分数・小数、一次方程式、比例・反比例、図形の基本、そして三平方の定理(Pythagoras' theorem)などは、扱う時期も中身も近い。ここを「日本語の授業」と「英語の授業」で別々に2回やるのは、ただの二度手間です。重なる単元は、概念は一度だけ理解し、英語名と記号(hypotenuse、equation など)を“あとから乗せる”だけにする。中身が同じなら、言語のラベルを貼り替えるだけで両方の試験に通用します。ここを一度で取り切ることが、両刀の時間を生み出す最大のポイントです。
問題は“ずれる単元”です。負の数や三角比(trigonometry)はインターの方が先に出てくるので、日本式しかやっていないと「学校で習っていないのに英語の試験に出る」状態になります。逆に、集合(sets)・標準形(standard form)・方位角(bearings)・関数記号 f(x) などはインターでよく問われる一方、日本の学年では薄い、または登場が遅い。つまり“穴”は両方向にあります。ここで効くのが、学年・単元・英語名・順序差が一目で分かる対応表です。全範囲をやり直すのではなく、ずれている数単元だけをピンポイントで埋めれば、負担を最小にして両方の穴をふさげます。
「何かしら成果を持って帰らないと、今やっていることが正当化できない」——これは多くのご家庭が口にする不安です。インターに全振りしてしまうと、いざ帰国したときに日本の国語・算数(特に漢字や記述、文章題の作法)でつまずきます。とはいえ、日本のカリキュラムを丸ごと並走させるのは現実的ではありません。狙いは“保険”なので、漢字・計算・読解の基礎を週に少量、薄く長く続けるだけで十分です。帰国が決まってから一気に詰め込むより、最小限を切らさず維持しておく方が、結果的に楽でリスクも小さくなります。
最後は、これまでの判断を一枚の地図にまとめることです。横軸に学年、縦軸に単元を取り、「重なる(=一度で両取り済み)」「インター先行で要補強」「日本に薄いので要補強」「保険として維持」と色分けしておくと、今やっていることが何の成果につながるのかが一目で見えます。これがあると、ご家庭の中で「この勉強は無駄ではない」と確認でき、帰国・残留どちらの決断になっても、積み上げたものをそのまま成果として説明できます。優先順位とは、つまるところ“この地図のどこを今埋めるか”を決める作業です。
「どこが重なって、どこがずれるか」を毎回想像で判断するのは大変です。学年・単元・英語名・順序差を 一枚にまとめた対応表を起点にすると、補強すべき穴だけが一目で分かります。
※ 学年・単元の対応はカリキュラムやコース、お子様の在籍校により異なる場合があります。 本記事は一般的な対応関係の考え方を示すもので、最終的な配分は在籍校の進度とお子様の状況に合わせて調整してください。
南数塾は、日本式の数学とインター(IGCSE/IB/A-Level)の両方を、学年×単元の地図で整理しながら指導します。 「どちらに転んでも成果が残る配分」を、お子様の在籍校の進度に合わせて一緒に設計します。まずはお気軽にご相談ください。